ある親御さんから、子供にどうやったら勉強の習慣をつけさせられるか、といった相談。因果関係は明確ではありませんが、小さなことでも褒めるようになったことが関係しているかもしれません。お子さんへの勉強の教え方で同じような悩みを抱えていらっしゃる方に少しでも参考になればうれしいです。
私のブログを読んでいただいている親御さんから相談がありました。
「うちの子は自宅で教科書を開かない。ブログを見ているとマルスさんのお子さんは勉強していますね。どのように勉強の習慣をつけさせたのでしょうか」
というものでした。
「そんなことはありません。隙あらばスマホで動画です。勘違いですよ。先日もスマホの使用履歴からYoutubeの利用時間をみて強くしかったばかりです」と答えました。
しかし、ここ数ヶ月を思い返してみると、確かに中学校2年生になってから部屋にいる時間は長くなっている気がします(我が家ではスマホは20時以降、自分の部屋に持ち込み禁止にしています)。何より、帰宅すると、「パパ、〇〇の勉強教えて。今日授業でやったんだけど、分からなくてさ」というシーンが多くなっています。勉強が習慣化してきているかもしれません。
ただし、私自身も帰宅後の時間を自分のために使いたいです。人生の充実のために自己啓発の時間を確保したい、NPO活動を復活したい(コロナ前まで無料の科学実験教室をやっていました)、好きな本をソファに寝転んで読んでみたい、NHKプラスで雲霧仁左衛門を観たい、などたくさんあります。しかし、子供に勉強を教えてと言われると、身体は疲れているのですが親としての本能なのか、やはり自分の時間を犠牲にして応じてしまいます。
長男の行動変化で考えられる要因
さて、話を戻します。子どもの勉強への取り組み姿勢が少しずつ変わってきた要因はどういったことが考えられるだろうか。子供には勉強のことに限らずいろいろと親子の会話をしてきたように思います。なぜ勉強をしなければならないのか、といった観点でピックアップするとたとえば次のようなものが思い当たります。
- 職業に貴賤はない、そして一生懸命働くことが大切
- 人生とは、あなたの選択(意思決定)で作られる
- 普通に生きていくための生活費と、様々な職業の年収
- 起業家、正社員、非正規社員の違い
- これからの時代、英語とプログラミングは必須、もう一つ強みをつくるとよい
- 小中学校で成績の良かった人たちが、必ずしも最終学歴が高くない人生の不思議
こうした内容が数%でも子供の頭に残った結果、行動の変化につながったかもしれません。一方、これとは別で子供への接し方を変えたことも要因かもしれません。
それは、『しかる』から『褒める』への変更です。
子どもへの勉強の教え方については日々悩みながら試行錯誤してきました。中学1年生の最初の頃は親子であるが故のストレートな物言いでそれはひどいものでした。「なぜこんな問題ができないんだ」「問題文の日本語が分からないの?」「ただの掛け算なのに」といったような一方的な発言。そして、「はぁーっ(*´Д`)」と有声音になっているため息。一部、人格を否定するような発言もあったかもしれません。疲れているとはいえこれは許されず、思い返すと冷汗三斗どころか強く自己嫌悪に陥りることが多々ありました。
そんなとき、夜中にそっと子供部屋に入りました。中学生とはいえ、長男は他の子に比べて幼く、寝顔を覗くとまだあどけなさがあります。こんな愛くるしい純粋な我が子に対して、叱ってばかりいるとは、なんとダメな親なんだと胸が痛くなりました。子供は未熟なものです。未熟だからこそ周囲の人間が深い愛情をもって教えていかなければならない。またそれぞれスキルも異なる。そういったことを理解せず、自分を基準にした考え方に固執し、叱ってばかりいる習慣にとりつかれていました。これは偶然にも名著(D・カーネギー、『人を動かす』p.28、創元社)にも同じシーンが描かれていました。
『人を動かす』は初めて部下をもったときに読んで以来、本棚にしまったままでした。改めて読み返すと、人を変える9原則の一つ「まずほめる」の記述が刺さりました。
そうか、これが欠けていたのだ!
同著では、叱るときは最初にほめておく(叱られる痛みを和らげるため)、といった狙いが書かれていました。私はそうではなく、そこから「とにかくほめよう!」との気づきを得ました。そういえば、部下育成でもモチベーションアップを狙ってとにかく褒めることを心がけていました。同じことを子育てでもやってみようと思い至りました。
その日から、小さなことでも褒めるようにしました。
「ご飯食べてすぐに机に向かうなんてすごいね」
「以前間違っていたカッコの外し方。ちゃんとできるようになったね」
「辞書をひくスピードが速くなってきたね、英語の才能あるんじゃない」
といった具合。本人は嫌がっているかもしれませんが、褒めたらそっと頭を撫でます。さらには、勉強を教えたあと、部屋からの去り際に、
「・・・すごい、確実に力が付いてきているなぁ・・・」
と独り言のように言い続けることもしました。
図:子供の部屋からの去り際に、そっと褒めるイメージ
2割は恣意的ですが、8割は心からの発言です。「褒めることにつながる、いいところはないか」といった視点で接するようになってから私の心が以前よりも穏やかになりました。きっとこのようなサイクルが回った結果、勉強をする習慣が少しずつ形成されたかもしれません。
図:褒めると勉強習慣がつながる因果ループ
ご相談のあった親御さんにはこの記事の内容をお話しさせていただきました。褒めることは子供の勉強習慣につながるばかりか、私自身のストレス軽減にも効果がありました。さらには親子間の愛情も強まったのではと思います。
お子さんへの勉強の教え方で同じような悩みを抱えれいらっしゃる方に少しでも参考になればうれしいです。ご高覧ありがとうございました。
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