中学1年の理科。植物のつくり。光合成のパートはよく入試に出されますし、また地球温暖化の問題を考えるうえで、必須の教養の一つです。道管と師管をどのように区別して考えればよいか、絵を描いて教えました。
「葉や茎のつくりとはたらき」に関する問題
中学1年の長男の2学期末期末テストがありました。理科は50~60点ほどの実力です。覚えるだけなのにもう少し取れないものかとも思いますが、まぁよしとします。
さて、どんな勉強をしているかのぞいてみますと、次のような問題を解いておりました。
図 単元「植物のつくりとはたらき」のとある問題
(1)、(2)はなんとか私も大丈夫でした。「葉緑体」なんて声に出したのは30年ぶりかもしれません。
問題は(3)以下です。維管束や道管、師管、形成層など、まったく記憶から消えておりました。勉強したことすら覚えていません。
マルス
こういったことは、覚えていなくとも、全く困らないよ。インターネットで調べられるし
では、なぜ覚える必要があるの
長男
マルス
・・・たしかに。なんと答えればよいのだろうか
こうした内容は大学の授業でいえば一般教養となるのでしょうか。大学1,2年生の頃を振り返ってみますと、日本国憲法や哲学など、一般教養の授業は数学物理学演習のような専門授業とはテイストの異なる、知的好奇心が充足される面白い授業でした。
具体的にどのように役立っているかは検証できないものの、おそらく人格形成や社会の仕組みの理解促進、判断力の向上、といったことにつながっているのではないかと思います。
その日は週の後半で身体がぐったりでしたが、がんばって一緒に教科書を勉強することにしました。
教科書からポイントをまとめてみる
単元を流し読みすると、とにかく覚える情報が多い。これは大変です。グルーピング、MECEといった手法で情報を整理しました。まず、このイメージが大切だと考えました。
図 光合成をおこなう生物の系統樹
このように整理すると覚えるべき範囲を網羅した感じがしてなんとなく安心します。すべての範囲については書けませんので、記事冒頭の問題に関連する内容に絞って記載していきます。
被子植物は、「単子葉類」と「双子葉類」に分かれています。「子葉」は種子が発芽して最初に見られる葉のことです。
次に「イカンソク」。「維管束」と書くそうです。こんなことを覚える必要はないと思いながら、入試の過去問や旺文社の問題集を見てみると、意外に出題されています。よくわかりませんが、この分野では熱い内容らしいです。これは教えなければです。
図 維管束の構造
維管束は木部と師部に分けられます。木部には、水や水にとけた養分(肥料)の通り道となる複数の道管があります。一方、師部には葉で作られた栄養分の通り道となる複数の師管があります。
図 双子葉類の茎のつくり
ここで大切なポイントは、これは「双子葉類」であることです。同じ被子植物の「単子葉類」にも同じく維管束はあります。しかし、無いものがあります。それは形成層です。双子葉類では形成層があるため、維管束がきれいに並んでいます。一方、単子葉類では形成層がないため維管束が散らばって存在します。
ようやく本題
ここまで前提知識を覚えたとして、冒頭の問題(3)に戻ります。
葉緑体でできた栄養の通り道を何というか。師管、道管のどちらか。これは今は覚えていても、半年後には間違いなく失念しますね。
マルス
栄養士さんって聞いたことあるよね
うん、僕らの給食を作ってくださる方でしょ
長男
マルス
そうそう。
だから、こう覚えてはどうだろう。
栄養士⇒栄養「し」⇒し⇒師管
だから、こう覚えてはどうだろう。
栄養士⇒栄養「し」⇒し⇒師管
さて、ようやく本題です。師管が葉の表側にあるか、裏側にあるか。これが問われています。
(こんなこと)どうやって覚えればよいのでしょうか。なんとかロジックで覚えられないか。しばらく考えて、次のような絵を描きました。
図 道管が葉のおもて、うら、どちらにあるか問題の考え方
マルス
光合成ってなんだっけ
えっと、太陽の光があたって、二酸化炭素を吸って、空気を出すんだよね
長男
マルス
水と二酸化炭素から光のエネルギーを使って、栄養(でんぷん)と酸素を作り出す反応です
ここは、しっかり!覚えよう
ここは、しっかり!覚えよう
光合成は当然のことながら日光が必要なので、葉の表側で活発に行われます。光合成には水が必要です。だから、水の通り道である「道管」が表側に来ます。茎は下から上に向かって成長し、茎から葉が伸びます。よって、内側の道管(木部)が葉の上に来ると覚えればいいですね。
一方、師管。葉の表側で行われる光合成反応により生成された栄養を、植物全体へ送り届ける必要があります。表側で作られた栄養は、裏側の通り道をとおっていきます。これが「栄養士(し)」で覚えた「師管」ですね。
定期テスト前にこうやって一通り教えました。それから数か月後、本記事の執筆に合わせて、復習として同じ問題を出してみました。
長男は「これはイソクカン!」と維管束を間違って覚えていましたが、見事に「道管が水」「師管は栄養」を間違わずに答えられました。すごいぞ息子。
こうした暗記物はTOEICの英単語と一緒で、定期的に記憶のメンテナンスをしなければなりませんね。忘れた頃を見計らってもう一度出題してみたいと思います。
ご高覧ありがとうございました。
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