光の屈折シリーズ。3回目は凸レンズの問題で長男が苦手とする、凸レンズから物体までの距離と像の大きさを取り上げます。最後に入試レベルの確認問題もやってみました。
凸レンズの性質
マルス
まず、凸レンズの焦点とは何か。なんて説明する?
えっと…、すべての光がそこを通る、というか、凸レンズを通るすべての光が、なんというか、そこを通る?
長男
マルス
いいね!光軸に平行な光を凸レンズに当てると、前回勉強した原理で凸レンズと空気の境界で光が屈折します。屈折した光は、光軸上の1点に集まるんだ。この点を焦点といいます。そして、凸レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離といいます。
図 凸レンズの焦点、焦点距離
うん、ここは覚えています。
長男
マルス
そしてね、重要なのが次のルールなんだ。
マルス
2と3は逆だから同じ意味だね。よって、実質的に2つのルールを覚えていれば凸レンズの作図問題は解けます。
実際に作図してみよう
マルス
では実際にやってみよう。
焦点より凸レンズ側に物体を置いてみます。そして、先ほどのルールに則り、物体から光軸の中心に向かって線を引こう。
焦点より凸レンズ側に物体を置いてみます。そして、先ほどのルールに則り、物体から光軸の中心に向かって線を引こう。
図 凸レンズの中心をとおる光は直進する
なぜ物体の頭からだけ光が出ているの?
長男
マルス
いい質問だね。もちろん、頭から以外にも光は出ているよ。たとえば、次のように1,2,3のようなイメージです。全部書くのは面倒なので、一番上の光だけを簡略化して書いています。きちんとルールどおりに凸レンズの中心をとおるように線を引いてね。
図 物体の様々な位置から出た光が凸レンズの中心をとおる様子
なるほど、そうなんだね。OK♪
長男
マルス
次に、もう一つのルールを使うよ。凸レンズに平行に入った光は焦点を通る!だったね。
図 凸レンズに平行に入った光(左)とそれが屈折して焦点をとおる様子
簡単です。理解。
長男
マルス
ここで、①と②が交わっていないよね。これはどういう意味?
えっと、交わっていないので、実像ができない。
長男
マルス
そのとおり。実際の問題では、「はっきりとした像がスクリーン上にあらわれた」などといった表現が使われます。
さて、ここで、物体と凸レンズの位置関係、これに伴う光の進み方から何がいえるかな。
さて、ここで、物体と凸レンズの位置関係、これに伴う光の進み方から何がいえるかな。
焦点と凸レンズの間に物体があるときは、実像ができない。
長男
マルス
正解です。
この場合、実像はできないけれど、次のように線を左方向へ延長してできる交点には虚像ができるんだよね。
長男
図 虚像の考え方
マルス
お、すごい。では、これが何を意味するのか説明して。
説明と言われても、虚像が左側にできる、しか分からないけど。。
長男
マルス
ここはきちんと理解しよう。
凸レンズを通して右側から物体を覗いたとき、物体の位置が焦点距離よりも凸レンズ側にあると、物体は実際の大きさよりも、大きく見える。つまり、うその像、虚像、というわけさ。
凸レンズを通して右側から物体を覗いたとき、物体の位置が焦点距離よりも凸レンズ側にあると、物体は実際の大きさよりも、大きく見える。つまり、うその像、虚像、というわけさ。
物体の位置を変えて考えてみよう
マルス
では、物体の位置を変えて考えてみよう。物体がちょうど焦点の位置にあるときはどうなるかな。
次のようになって実像ができないね。この場合は平行になるのか。作図してみると分かります。
長男
図 物体が焦点位置にあるときの光の進み方
マルス
では次に少し左側に物体がずれたときはどうなる?
この場合は実像ができる。そして、実像の大きさは物体よりも大きくなる。
長男
図 物体が焦点距離よりも少し左にあるときの光の進み方
マルス
いいですね。では、もう少し左にずれて凸レンズの中心から左方向へ、ちょうど焦点距離の2倍の位置だったときはどうなるでしょうか。
これは特徴的な性質だったので覚えています。実像と同じ大きさになるんだよね。
長男
図 物体が焦点距離の2倍の位置にあるときの光の進み方
マルス
そうです。正解。では、最後にさらに左方向へ物体がずれたときを考えよう。せっかくなので参考書では表現できない、極端に遠い位置に置いてみよう。
それは面白い。作図するとこうなります。極端に遠くすると、極端に小さい実像になるんだね。
長男
図 物体をさらに焦点から遠くにおいたときの光の進み方
マルス
凸レンズの問題は先に示したルールを覚えていれば簡単に解けるんだ。また、位置と実像の大きさに関する問題では、暗記するのではなく、ささっと手書きでもよいので作図できるようにするといいね。
もう凸レンズの問題はできます。簡単です。
長男
確認問題
マルス
よし。では、確認問題をやります。こういうのはすぐにやって、頭にたたみかけて記憶させるのがいい。
…。ドSな父。
長男
マルス
高さ4cmの物体(ろうそく)を凸レンズの左12cm、スクリーンを凸レンズの右24cmのところにおいたところ、はっきりとした像がスクリーン上にできました。この凸レンズの焦点はどこになりますか(凸レンズの中心から何cmになりますか)。
図 確認問題(入試レベル)
いつもは焦点が与えられていたのに。。えっと、凸レンズとスクリーンの真ん中あたりかしら。
長男
マルス
残念。物理の問題は、なんとなくではなく、きちんと根拠をもって解く必要があります。基本的なルールを思い出そう。
まず、問題文にある、「はっきりとした像」と書かれているよね。これがヒントです。
えっと、実像だから、スクリーン上にちょうど光の交点があるってことだね。
長男
マルス
そうです。そして、ルールに則って作図してみよう。
よし。今まで習ったことを使えばいいのだな。
長男
図 確認問題の解き方
マルス
はい。正解です。今のが入試レベルの問題です。これは良問なので2週間くらい経過したらまたやってみますね。お疲れさまでした。
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